サラリーマンの方が副業で所得を得て確定申告をしようとする場合、悩むのが「事業所得」として申告するのか?あるいは「雑所得」として申告するのか?というところではないかと思います。

「事業所得」とは「農業、漁業、製造業、卸売業、小売業、サービス業その他の事業から生ずる所得」です。(ただし不動産賃貸による所得は「不動産所得」に該当するため「事業所得」からは除かれます)。
一方「雑所得」とは「所得税法上定められている9種類の所得区分のどれにも当てはまらないもの」で、サラリーマンの副業について考えるときには「事業所得の要件に該当すれば事業所得になるし、該当しなければ雑所得になる」ということで良いと思います。

申告する納税者側としては「事業所得」として認められると
●青色申告控除を受けられる可能性がある(所得の金額から10万円または55万円あるいは65万円が控除されるので納税金額が少なくなる)
●損益通算ができる(事業所得が赤字だったときに給与所得の黒字からその赤字を控除できるので給与から源泉徴収された金額が戻ってくる可能性がある)
といいことずくめなので、当然「事業所得」としたいところです。
逆に税務署側としてはなんでもかんでも「事業所得」とされてしまうと徴収する税額が少なくなってしまうので、判定を厳格にしたいという事情があります。

それでは、「事業所得」と「雑所得」のどちらに該当するかはどのように判断すれば良いのでしょうか?
困ったことに実は明確な基準が定められているわけではなく、一つ一つの事案を個別具体的に見ていくことになるのです。そう言ってもまったく何もないと困るので、以下の最高裁の判例が事業所得と判定される指標となっています。
「自己の計算と危険において独立して営まれ、営利性、有償性を有し、かつ反復継続して遂行する意思と社会的地位とが客観的に認められる業務から生ずる所得」
難しい表現ですが、私の解釈としては
○その副業をするために、自腹を切ってあるいは自分でリスクを負って、仕入をし、経費を払い、事業のための設備を整えている
○その副業が「お小遣い稼ぎ」や「生活費の足し」とされるレベルを超えて十分な収入源となっている
○その副業をするために継続的かつそれなりに自分の時間を費やしている
という点を満たせば「事業所得」として認められると思っています。繰り返しになりますが、個別具体的な判断となりますので、迷われている方は専門家への相談をお勧めします。

なお、どれだけリスクを負っていても、また、得た金額が大きくても、暗号資産の売買による所得は原則として「雑所得」になりますのでご注意ください。