個人事業主として仕事をするか、株式会社あるいは合同会社などの法人を作って仕事を受けるか、どちらにもメリット・デメリットがあります。以下ポイントを記載しますが、

個人的な意見としてはスタートする時点では個人事業主から始めて個人事業主のメリットを享受し、軌道に乗って順調に利益が出るようになってきたら(目安として700-800万円くらい)法人化して法人のメリットを享受するのが良いのではないかと思います。

【個人事業主のメリット(法人のデメリット)】

・法人の場合登記費用や定款認証(株式会社の場合)などの設立コストがかかるが、個人事業主は基本的に不要→登記などの手続きを専門家(司法書士など)に依頼する場合は専門家への報酬も支払わなければならない。

・個人事業主の場合、雇う人数が5人未満であれば従業員の健康保険と厚生年金は加入しなくてもよいが、法人は人数に関係なく強制加入になる。保険料の半額を負担しなければならないので、人を雇う必要がある場合は個人事業主のほうが費用負担を少なくできる可能性が高い。

・所得(収入-経費)がまだ少ない場合、個人事業主のほうが税率は低い(所得330万円未満の場合、所得税率は約10%、法人税率は約15%)

・個人事業主は所得(収入-経費)から税金などを支払った手残りを自由に使えるが、法人は自分自身に給料(役員報酬)として毎月支払う額を予め決めておかねばならず、しかも一度決めた金額は原則として1年間は勝手に増減できない。

・確定申告は所得税(個人事業主の場合)のほうが法人税(法人の場合)より簡単な場合が多く、個人事業主のほうが法人より事務手間が少なく、面倒でない可能性が高い。

・法人は所得がなくても(赤字であっても)法人住民税(資本金1千万円未満の法人で7万円が基本)を必ず納付しなくてはならない。

【法人のメリット(個人事業主のデメリット)】

・法人のほうが社会的に信用度は高いとされている。人を雇用することを考えている場合は法人のほうが採用しやすいかもしれない。

・法人のほうが節税の方法が多い。会社でマンションを借りて社宅として貸し出す、仕事を手伝ってもらっている家族に給与を払うなど(個人事業主でも家族に給与を払うことができるが家族が自分の事業に専念していないとダメなど制限が多い)

・配偶者に収入が一定額以下の場合、配偶者を社会保険に入れることによって社会保険料を安く抑えることができる→個人事業主の場合、配偶者は自分自身で国民年金と国民健康保険に入らなければならない。

・所得600万円のとき、所得税の税率は23%であるのに対し法人税の税率は15%であるので所得が増えてきたなら法人のほうが税率は有利。

・個人事業主は12月で1年分の決算を締めなければならないが、法人は決算期を自由に選べる。(仕事が忙しくない時期に決算時期を設定することができる)

・事業で赤字(損失)が出た場合、翌年度以降黒字になったときにその黒字から過去の赤字をマイナスできるが、その繰越期間が法人のほうが長い(個人事業主は3年だが法人は10年)。