いわゆる「電子帳簿保存制度」は当初2022年1月から開始予定でしたが、多くの会社で「準備する時間が取れない」との理由から直前(2021年12月!)に開始が2024年1月からに延期されました。そもそもどのような制度なのでしょうか?まずは超簡単にポイントだけ押さえていきます。

「電子帳簿保存制度」は、①帳簿書類の電子化、②スキャナ保存制度、③電子取引デ-タ保存制度、の3本からなる制度です。一つ一つ内容を見ていきます。

①帳簿書類の電子化

日々の会計を記録する仕訳帳、総勘定元帳などいわゆる「会計帳簿」と呼ばれる書類は実は今まで紙に印刷したものを保存しておくことが原則でした。それがクラウド会計や市販の会計ソフトを利用していればわざわざ印刷する必要などなく、データのまま保存しておくことが可能です。ほとんどのクラウド会計、会計ソフトで基準を満たしているはずです。

②スキャナ保存制度

書面(紙)で入手した領収書や請求書などの書類をスキャナで読み取り電子化し保存する制度です。解像度、電子化のタイミング、改ざんを防ぐための要件(タイムスタンプ付与)など細かい要件は色々ありますが、要件を満たせば基本的に事前の届出は不要です。なお、税務調査が入った際調査官が検索できるようにしておく必要があります。

③「電子取引データ保存」

請求書、領収書などを電子データ(電子メールの本文や添付ファイル、HPからのダウンロードなど)で送受信した場合、プリントアウトして書面で保存するのではなく、電子データのまま保存しておかなくてはならないという制度です。②と同様にデータの改ざんを防ぐため、タイムスタンプ付与や事務処理規程を定めるなどの要件を満たす必要があります。検索機能を整えておく必要があるのも②と同様です。

以上、「なんでも紙に印刷しておかなければならなかったけれど、データがあればOKになった」ということで個人的には良い制度だと思いますが、実務上は「要件など関係なく紙に印刷してしまったほうが楽」という面もあったかと思います。それが開始延期に繋がったのかな?と思いますが、2024年からは制度が開始されてしまいますので、要件を整えておかなくてはなりません。