「労働保険」とは「労災保険」と「雇用保険」の2つから構成されていて、纏めて「労働保険」と呼ばれています。

どちらも「労働者」を保護するためのものなので、原則的には「経営者」である役員は加入することができません。

2つの違いは

「労災保険」→労働者が仕事をする上でケガをしたり病気にかかったりしてしまった場合、保障をする制度で通勤中も含みます。

「雇用保険」→労働者が失業した場合や育児や介護などで仕事を続けるのが難しくなり休業した場合などに保障をする制度になります。

労災保険は労働者全員が対象になりますが、雇用保険はパートやアルバイトなどフルタイムで働いていない人は対象にならない場合があります。

保険料は事業主(会社)が納付します。労災保険は事業主が全額負担しますが、雇用保険は労働者(従業員)も一部負担し、給与から控除されます。

この保険料は毎年4月1日~3月31日を計算期間として、7月10日期限で申告・納付します。これが「年度更新」と呼ばれる制度です。

「年度更新」の計算方法は「確定保険料」と「概算保険料」の2本立てになっています。具体的には令和5年7月10日期限の申告では

「確定保険料」→前年度(R4.4.1-R5.3.31)の確定額。この期間の給与・賞与を集計して、合計額×保険料率で計算

「概算保険料」→当年度(R5.4.1-R6.3.31)の概算額(予定額)この期間に払われるであろう給与・賞与の合計額を見積もって、保険料率を掛けて計算しますが、未来の予想は難しいので、実際のところは、確定保険料を計算するために集計した合計額を使います。

※年度は国の会計年度(4月~3月)ですので、会社の会計年度とは一致しないことがあります。

「確定保険料」と「概算保険料」の合計額が納付額になりますが、前年度(R4.4.1-R5.3.31)の概算保険料は令和4年7月10日期限で既に1回申告しているため、差額を精算することになります。

例えば、

1令和4年7月10日申告時に概算保険料(R4.4.1-R5.3.31)として計算した金額が2万円

2令和5年7月10日申告時に確定保険料(R4.4.1-R5.3.31)として計算した金額が2万2千円

3令和5年7月10日申告時の概算保険料(R5.4.1-R6.3.31)として計算した金額が2万2千円

だとすると、令和5年7月10日に納付する金額は2-1(前年度に概算払いした金額が今年度の確定金額に比べて足りなかったので差額を払う)+3=2万4千円ということになります。