前回のブログで源泉徴収についてご説明しましたが、「源泉徴収不要の報酬」に該当するものでも、それが「報酬」ではなく「給与」と認定されれば源泉徴収をしなければなりません。
仕事を請け負った人が仕事を発注した会社との関係で「個人事業主」ではなく、「社員」であると認定されてしまうと、仕事に対してもらった料金は「報酬」ではなく「給与」であるということになります。
もう少し具体的に言うと個人事業主がある会社からアプリ開発のためのシステム開発業務を受託したとします。この業務自体は基本的には源泉徴収の対象に該当しないものが多いですが、これが「個人事業主が会社から受託した業務(請負)」ということではなく「個人が会社に雇用されて業務に従事している」と判定されると源泉徴収しなければならないということになってしまいます。
個人事業主の仕事が会社からの「請負」であるのか?(報酬)あるいは会社に「雇用」されているのか?(給与)どちらであるかの判定は以下のような論点から判断されます。
・その仕事を自由に他人に代われるか?→他人が自由に代われる仕事であれば「請負」であると判断される可能性が高いです。
・仕事の遂行に関し会社の指揮監督を受けるか?時間的、場所的拘束を受けるか?→仕事の遂行に関する自由度が高ければ「請負」と判断される可能性が高いですし、逆に会社の指揮監督下にある程度が高い、あるいは時間的、場所的拘束を受ける程度が高いと「雇用」であると判断される可能性が高いです。
・その料金は「仕事の成果」に対して払われているか?→「成果」ではなく「働いたことそのもの」に対して支払われているのであれば「雇用」であると判断される可能性が高いです。料金の決め方が時給や日給であれば「請負」ではなく「雇用」であると判断されるのではないかと思われます。
・仕事の遂行に関し材料や道具(例えば業務用パソコンなど)の提供を受けているか?→会社が用意してくれれば「雇用」、自前で用意しなければならないのであれば「請負」と判断される可能性があります。
・不可抗力により仕事が完遂しなかった場合でも権利として代金の請求ができるか?→できなければ「請負」であると判断される可能性が高いです。